女嫌いと男性恐怖症
第24話 ハグ
眠れないのは、蔑んだ瞳を思い出しての怯えからではなかった。
寝て起きたら、ハグが待っている落ち着かなさは多少ある。
晶は椅子に座っていた。
遥をドアのところで送り出し、部屋に戻ってすぐにベッドに入ったのに、だ。
あんな短時間ベッドにいただけなのに、遥の甘い匂いがして、飛び起きるはめになったからだ。
「クソッ。こんなベッドで寝られるか」
八つ当たりして、枕を投げつける。
今すぐにでも、シーツを全て替えたかった。
しかし、替えのシーツは遥の部屋にある。
半分は物置部屋になっている部屋に取りに行くのは、まっぴらごめんだった。
替えのシーツも、甘ったるい匂いに汚染されているかもしれない。
近づいても、匂いに気づくことの方が少なくて失念していた。
そして、どうにもできずにベッドから離れ、椅子に座るしかなかった。