女嫌いと男性恐怖症

 そうだ! と、思いついて窓を開けた。
 ヒヤッと澄んだ風が、高揚した体に心地よかった。

 クソガキにクソジジイか。どんなだよ。

 晶は夜風が吹き込む部屋で、遥の体調のことを思い出していた。

 口にするのでさえ嫌なそれは、まざまざと遥が女であるということを示していた。

 しかし、遥に対しての嫌悪ということにはならなかった。
 分かり兼る自分の心持ちに、自分でさえ説明がつかなった。

 ただ、遥の体調は、男では分からないことで心配にはなっていた。
 どの程度痛いのか、つらいのか。

 そんな考えに、失笑する。

 ハルはクソガキだ。
 クソガキが腹イタで、それをクソジジイが心配してるだけだ。

 そう。ただそれだけだ。

 冷え込んできて、窓を閉めると恐る恐るベッドに入る。
 冷たくなっていたが、おかげで匂いはなくなっていた。

 ハルの温もりと残り香の中で寝るなんて、どんな拷問だよ。
 頭をワシャワシャして、思い出さないようにする。

 それなのに、あの小さいのを抱き枕代わりにして寝たかったな。
 なんて気持ちも心の片隅にわいて、急いでそれを打ち消した。

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