女嫌いと男性恐怖症

 朝。なんとか眠れた昨晩からは、気持ちのいい目覚めというほどではなかった。

 それでも起きなければ、遥が次に何をしでかすか分かったもんじゃない。

 嫌々に起きると、ソファに座るチビの頭が見えた。

 チッ。起きてやがったか。

 仕方なくそれをグリグリと乱暴に撫でると、ぶっきらぼうに「おはよう」の声をかけた。

 ひざ掛けに包まっていたそれは、ピョコンと嬉しそうに「おはようございます」を口にした。

 しれっといつも通り一人掛けのソファに座る晶に、トントントンッと隣の空いたスペースをたたく。

 それを無視して、新聞に目を通した。

 こっちに来い。と、でも言いたいのか。
< 166 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop