女嫌いと男性恐怖症
事務所から出た晶が、いつもの晶に戻ったように感じて遥はホッとしていた。
「私の仕事のことそんなに嫌でしたか?」
心配そうな遥に「あぁ。そのことか」と口を開いた。
「話した内容もそうだが。俺が女嫌いなのは、言っただろ?直樹の奥さんには、世話になって感謝している。でもそれとこれとは別なんだ」
何のことを言っているのか、分からない顔をする遥にククッと笑う。
「家で言ってたのは、女と接した後にその時の心の声を教えてやる。ってことだ」
「女の人と接した? 心の声?」
「それを聞けば、俺がどれだけ女嫌いか分かるってもんさ」
そう言って、また意味深に笑う。
「さっき奥さんと話しただろ? その時に思ってたことだ。さぁここからは心の声だ。いくぞ」
晶は少し間をあけて、話し出した。
顔には、嫌悪感がにじみ出ている。
「うわっ。相変わらず化粧くせっ。ネイルなんてするよりも中身を磨けよ。ネイル可愛い〜。そんな自分も可愛い〜。とか、どうせ思ってんだろ? ハルの仕事のことありがたいけど、そういうの余計なお世話っていうんだよ。……まだ続けるか?」
怒涛の勢いで思っていたらしい心の声を聞いて、遥は目を白黒させた。