女嫌いと男性恐怖症
「そんな端正な顔立ちから、こんな罵りの言葉を聞くことになるなんて驚きです」
「悪かったな。性根は腐ってて」
自虐的に言う晶に、遥は微笑んだ。
「私も、男なんてこの世からいなくなっちゃえ! とか、思ってました。今もたまに思います。」
「へぇ。そりゃ非道な考えだな」
フッと晶も笑みをこぼした。
「ほら。もう分かっただろ? もうこの後は普通でいいか?」
遥は首を振った。
「ダメです。陽菜さんは知ってる方ですけど、知らない人にはどうなのか聞いてみたいです。心の声」
「悪趣味だな。嫌な気持ちになっても、責任取らないからな」
その後は女の人と接するたびに、その人が去ってからひどいことを思っていたことを遥に話した。
それを遥は驚いたり、時には感心したりして聞く。
どんな性格悪い遊びだよ。
そう思って遥を見ると、晴れない表情をしていた。
「もう疲れただろ? 帰ろう」
ついつい忘れちまうが、こいつも女だ。
いい気分が、するわけないのにな。
そんな思いで帰路についた。
その晶の思いは、的中していたようだ。