女嫌いと男性恐怖症

 どう声をかけていいか分からないでいる晶は、今にも泣き出しそうな遥を見ないフリをするのにも限界があった。

 立ち上がると、遥の隣に座り直す。

 おずおずと腕を回すとやはり柔らかくて、そして頼りないほどに小さかった。

 抱き寄せられるがままだった遥は、堪えきれなくなったように胸にしがみついて、泣き始めた。

「女じゃなくなればいいのに。女だから、嫌な思いもするし、アキにだって避けられることも」

 そこまで言うと、腕の中で顔を上げた。

 まだ、本当は近づいちゃいけないのかな。

 悲しそうな瞳は、そう言っているようだった。
 晶は、その頭をポンポンとして胸の中に戻した。

「悪かった。そんな風に思ってるとは思わなかった。「近づくな」は忘れてくれ」

「でもアキは女嫌いで」

 腕の中でくぐもった声で話すハルを、もう一度強く抱きしめた。
 なんと言えば、いいか分からなかった。
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