女嫌いと男性恐怖症
クソッ。直樹のやつ。
晶は直樹と二人で、法律事務所をやっていた。
弁護士という職業柄、様々な人を見ているせいか、直樹は遥のことを心配な子と思ったのだ。
直樹がダメだから、いくら女の陽菜がいても、直樹の家は住まわせることは出来ないだろう。
その思いは口に出さなくても、直樹も晶も分かっていた。
それにしたって。
スマホをテーブルに置くと、借りてきた猫よろしくの状態でソファーに座っている遥を見る。
「おい。おま、ハル、でいいよな。おい。ハル。なんか食うか?」
だいたい、仕事終わりになに食べに行こうとしていたところへ、倒れた遥を拾ったのだ。
「いえ、あた、ぼ、僕は大丈夫です」
ぐーっと盛大な音が聞こえて、晶がハハッと笑うことになった。
声を出して笑うなんて、久しぶりだな。
そんな思いに、ハハッと乾いた笑いをこぼす。
僕って言わすのは、ちょっとやり過ぎだったか。
そう思いながら、冷蔵庫をのぞいた。
「あんま家で飯を食わないんだ。パスタくらいしかないな。パスタソースあったか。あ、レトルトカレーがあるな。なんとか賞味期限も無事だ」