女嫌いと男性恐怖症

「クソガキだろうが。すぐ泣きやがって」

 涙を、乱暴に拭き取ってやった。
 ふくれっ面の遥に、頬が緩む。

「悔しかったら、俺が毛嫌いするほどの女になってみやがれ」

 遥はムッとした顔をすると、頭をグリグリと胸に押し付けてきた。

「イテテテ。くすぐったいし、なんだよ」

 腕から離れた遥が、ニッと笑った。

「じゃ私が、絶世の美女になってみせます」

「ハッ。到底無理だろうが、せいぜい頑張るんだな」

 なんだよ。これは。
 ハルは、俺が嫌いな女を目指すなんて。
 余計に奇妙な関係だろ。

 晶は頭をかいた。

 それでも。
 それでハルが、前向きでいられるのなら。

 明るい顔をしている遥を見て、フッと笑った。
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