女嫌いと男性恐怖症
第26話 ホットミルク
「じゃ今日こそ、アキと一緒に寝てもいいですか?」
なんでそうなるんだよ。
深い意味など全く感じられない、子どものような瞳を向けている遥。
その瞳を見ないまま、晶は口を開いた。
「ったく。いい女は、簡単に男と寝たりしないぞ」
遥と晶の言っている意味には、相違がありそうだったが、晶にはもちろんそれは分かっていた。
遥は、分かっていないようだが。
「そうですよね。一人で寝てこそ大人の女性ですよね。分かりました」
思いのほか、あっさりと引き下がった遥にホッとする。
いい女になるって、目標も案外いいかもな。
そう思いつつも、少し寂しく感じる自分に苦笑した。
「でも朝のハグは、してくれますよね?」
「だから、どうしてそうなるんだ!」
いい加減にしてくれ。
憤慨したように遥を見ると、いつもより近くにある顔にドキッとする。
忘れてた。
まだ、同じソファにいたんだった。
顔を背けて頬づえをつく。
急激に隣の一人掛けのソファに、移動したくなった。
しかし変な行動を取れば、遥が何を言い出すか分からない。
長い手足がやけに場所を取るような気がして、居心地が悪かった。