女嫌いと男性恐怖症

「他の服は、いつか一緒に買いに行きましょうね。夏休みの宿題なんですよね?」

 チッ。余計なこと覚えてやがる。

「まぁな。この一着しか買ってないんだ。他は店に買いに行かないとな。」

 男だらけの店に、買いに行ける日が来るんだろうか。
 そんな思いでいると、懐いた小動物が笑顔を向けて聞いてきた。

「もうすぐ着くパンケーキのお店は、女の人がたくさんいますけど、心の声は出ちゃったりしないんですか?」

 何を言ってるんだか。
 俺の女嫌い歴を、なめてもらっては困る。

 その程度で、罵詈雑言が表に出たら。
 まぁ顔には多少は出てるだろうが、そのくらいのはずだ。

「ハッ。大丈夫だ。誰かの寝ぼけた時と一緒にするな。だだ漏れにしたりしない」

「寝ぼけて、だだ漏れ?」

 ブツブツつぶやく遥に、またやっちまったか。と、視線をそらしても遅かった。

「アキ! あれは夢じゃないんですか? ちょっと!」

 答えるわけねーだろ。

 逃れるように早足になった晶の体が、急に止まった。
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