女嫌いと男性恐怖症

「どうして、一緒に寝てたんだ」

 一番聞きたくない。
 でも一番、はっきりさせないといけないことだ。

「それも、覚えてないんですか?」

 呆れる遥に、恐る恐る頷く。
「まったくもう」と、遥は説明し始めた。

「ホットミルクを飲んだんです」

「あぁ。それは覚えてる」

「それで、ずいぶん、その、疲れていたようだったので、一杯飲んだだけで眠くなってしまったみたいで。そのままソファで寝てしまって」

 あぁ。それで、こんなところで寝てたら風邪ひきますよ。の言葉をかけられたのか。

 かろうじて、覚えているセリフが一致する。

 それにしても、ホットミルクに入れたブランデーごときで、記憶を失くすなんて。
 そこまで弱くないはずだ。
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