女嫌いと男性恐怖症

 次の言葉を言いにくそうにしている遥に、ゴクリと喉が鳴った。
 どんだけ緊張してるんだと、笑いたい気分になる。

「風邪ひきますよって言ったら。一緒に寝てくれなきゃ嫌だって。言っておきますけど、アキが言ったんですからね」

 遥からしても、よほど驚きの言葉だったことが伺える。
 わざわざアキからと、念押しするほどに驚いたのだろう。

 しかし、晶も言われて記憶が蘇る。

 クソッ。いっそ忘れてればいいのに。

「それで手を、離さないので「大人な女性は、簡単に寝ないんじゃないですか?」って聞いたら、お前はクソガキなんだから大丈夫だ。今日は俺の、抱き枕になるんだからいいんだって。」

 どんなんだよ。
 まぁクソみたいな甘いセリフを、言わなかっただけマシか。

「悪かったな。その」
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