女嫌いと男性恐怖症

 呼吸が整ってきた遥に、耐えきれなくなって晶は口を開く。

 言いたくはない。
 しかし事実だ。

「やっぱり俺たちが一緒に住むのは、無理だったんじゃないのか?」

 女嫌いと男性恐怖症。
 所詮は、無理な話だ。
 分かっていたことじゃないか。

 晶の言葉に目を丸くすると、また呼吸が荒くなりかけている。
 急いで背中をさする。

 大きな優しい手と、穏やかで低い声。

「大丈夫だ。落ち着いて息を吐くんだ」

 この優しい全てが、なくなってしまう。
 遥は、思わず口から出てしまった。
 晶からしたら、思いもよらない言葉を。

「婚約者の方と、結婚するからですか?」

「なっ」

 何を言ってるんだ、こいつは。
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