女嫌いと男性恐怖症
「大丈夫だ。今度は食事もしない。用件を伝えたら、すぐ帰る。心配なら直樹の家で、奥さんと待っていたらいい」
コクンと頷く小さいのが愛おしく感じて、離したくない気持ちになる。
「ババアは放っておこう。旅行に行けとか余計なことを言おうとも、あの人が断ればそれまでだ」
ぎゅっとしがみついてきた遥が、不安そうな声を出す。
「初めてお会いしましたけど、お母さん怖かったです。ごめんなさい。アキのお母さんなのに」
「いや。いいんだ。それよりハルを巻き込んじまってるかもな。一緒にいるところを見られた。すまなかった」
まずかったな。
まさか会うとは、思っていなかった。
女が行きそうなところでは、会うかもしれないなんて忘れていた。
それほどに、ハルと。