女嫌いと男性恐怖症

「大丈夫だ。今度は食事もしない。用件を伝えたら、すぐ帰る。心配なら直樹の家で、奥さんと待っていたらいい」

 コクンと頷く小さいのが愛おしく感じて、離したくない気持ちになる。

「ババアは放っておこう。旅行に行けとか余計なことを言おうとも、あの人が断ればそれまでだ」

 ぎゅっとしがみついてきた遥が、不安そうな声を出す。

「初めてお会いしましたけど、お母さん怖かったです。ごめんなさい。アキのお母さんなのに」

「いや。いいんだ。それよりハルを巻き込んじまってるかもな。一緒にいるところを見られた。すまなかった」

 まずかったな。
 まさか会うとは、思っていなかった。

 女が行きそうなところでは、会うかもしれないなんて忘れていた。

 それほどに、ハルと。
< 199 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop