女嫌いと男性恐怖症
ボロボロな身なりに汚らしい体で、男女の区別もつかない。
思わず後退る晶に、その人は尚もすがりついた。
まるで男の直樹に怯え、女の晶へ逃げるように。
「お嬢ちゃん。アキにしがみつかない方がいいぜ」
直樹が忠告しても、どうにも怯えてしまって話にならない。
しびれを切らした晶が、口を開いた。
「おい。女。俺にしがみつくな」
晶はつかまれた腕を振りほどこうとするが、離さない。
「助けて……。男の人は嫌なの」
それだけ言うと、晶の腕をつかんだまま意識を失ってしまった。