女嫌いと男性恐怖症

 事務所に行くと、遥は陽菜と一緒にお茶をしていた。

「早かったんですね」

 晶が思っていた顔と、違う顔で出迎えられた。

 それでも晶と一緒に、マンションに帰るらしかった。
 陽菜に、お茶のお礼を言っている。

 無言のまま帰ると、遥は自分の部屋に行ってしまった。

 気持ちを持て余してしまった晶は、なんとなくふてくされてソファに座った。

 別に、何を期待していたっていうんだ。

 よく頑張ったねって、褒められたかったのか?
 それとも、笑顔で迎えて欲しかったのか。

 それこそ俺は、どんだけガキなんだって話だろ。

 自分のよく分からないごちゃごちゃに嫌気がして、部屋に行くと服を着替えた。

 一応は言ってから出て行くか。と、遥の部屋の前でノックする。

「ランニングにでも行ってくる。何かあれば連絡をくれ」

 返事は無かった。

 PHSは事務所に行く時に、遥に渡していた。

 陽菜との連絡先の交換なんかは、済ませているはずだ。
 使い方も聞いただろう。

 電話帳には、晶の連絡先も入れてあった。

 こんなことなら、PHSの使い方も自分で教えれば良かった。
 そんな寂しい思いを見ないようにして、外へと出かけた。

< 207 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop