女嫌いと男性恐怖症
事務所に行くと、遥は陽菜と一緒にお茶をしていた。
「早かったんですね」
晶が思っていた顔と、違う顔で出迎えられた。
それでも晶と一緒に、マンションに帰るらしかった。
陽菜に、お茶のお礼を言っている。
無言のまま帰ると、遥は自分の部屋に行ってしまった。
気持ちを持て余してしまった晶は、なんとなくふてくされてソファに座った。
別に、何を期待していたっていうんだ。
よく頑張ったねって、褒められたかったのか?
それとも、笑顔で迎えて欲しかったのか。
それこそ俺は、どんだけガキなんだって話だろ。
自分のよく分からないごちゃごちゃに嫌気がして、部屋に行くと服を着替えた。
一応は言ってから出て行くか。と、遥の部屋の前でノックする。
「ランニングにでも行ってくる。何かあれば連絡をくれ」
返事は無かった。
PHSは事務所に行く時に、遥に渡していた。
陽菜との連絡先の交換なんかは、済ませているはずだ。
使い方も聞いただろう。
電話帳には、晶の連絡先も入れてあった。
こんなことなら、PHSの使い方も自分で教えれば良かった。
そんな寂しい思いを見ないようにして、外へと出かけた。