女嫌いと男性恐怖症
深夜に電話が鳴った。
眠れない頭に、容赦なく音が鳴り響く。
非常識な時間帯のけたたましい音に目をやると、仕事用もプライベート用も両方が鳴っていた。
晶は迷わず、プライベート用を手に取った。
すぐ近くで鳴る、仕事用のPHSに表示されている「クソババア」を横目で確認して、身の毛のよだつ思いがした。
「おい。アキ! 起きてるか?」
切羽詰まった声が、電話口に響く。
直樹だった。
「どうしたんだ。こんな時間に」
「落ち着いて聞いてくれ。あの人が……」