女嫌いと男性恐怖症
第31話 前へ
直樹は放心状態のアキを横目に、言い過ぎちまったか。
と、反省の色を浮かばせていた。
けれど。
家では陽菜が、自分が変なことを言ったせいなんじゃないかと落ち込み、遥は無理に明るく振舞っている。
沙織も人間味のない晶と接していて、楽しいわけがない。
それに、こんなアキを見てるのは、もう。
「んな、しけた面をいつまでも見てたくねぇんだよ。アキ。今日は帰っていいぞ」
晶の肩をバシッとたたくと、直樹は自分の席へと戻った。
晶はしばらくの沈黙の後、おもむろに立ち上がると部屋を出て行った。
部屋の外から「クソッ」と晶の声が聞こえた。
「ハハッ。悪態をつくくらいの元気はあったか」
直樹は乾いた笑い声をあげると、天井を仰いで深いため息をついた。
こっからはお前次第だぞ。アキ。
祈るような気持ちで、直樹は目を閉じた。