女嫌いと男性恐怖症

 クッソ!

 晶も自室へ行くと、すぐに電話をかけた。

「あぁ。アキ。かかってくると思ってた」

 電話の向こう側では、相変わらずの笑い声が聞こえる。

「直樹、お前。言ってることと、やってることが違うだろうが! だいたい俺は、まだお前に惚れてることになってるのか」

 アハハハッと大笑いが聞こえる。
 ブスッとしたまま、それが終わるのを待つ。

 でもなんだろう。
 俺も、笑いたい気分だ。

「アキは遥ちゃんに、何か言うつもりだったのか?」

「何かって」

 いや、なんだ。
 俺にも、よく分からないが。

 口籠る晶に、直樹が平然と言った。

「よく考えたら、遥ちゃん男性恐怖症だろ? いきなりアキが愛の告白なんてして、不安定になっても困るなって」

「なっ。そんなもんするわけないだろ。相手はクソガキだぞ」

 滑稽な表現に、顔が赤くなるのを感じた。

 愛の告白ってなんだよ。
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