女嫌いと男性恐怖症

 さすがに、緊張気味に遥の部屋の前に立つ。
 深呼吸をしてから、ノックした。

「ハル。俺は仕事に行く。ハルも仕事始めたんだろ? 行ってこいよ。それで、夜は一緒に飯を食おう。俺が作る。リクエストは、おまかせだよな?」

 返事があるのか分からなくて、一気に話した。
 すると「はい」という声がした。

 返事があることが、こんなに嬉しいことかと驚きながら玄関に向かう。

 でも、例え返事がなくても、まだ遥がよそよそしくても、もう迷ったりしない。

 事務所に向かいながら、前に直樹が言っていた「遥ちゃんとは、信頼関係を築いてる途中だろ?」の言葉を思い出す。

 そう。まだ途中なんだ。

 お互いに、面倒なものを抱えてる。
 だから普通以上に揺れたって、仕方ないんだ。

 でももう俺は、間違えない。
 もしかしたら信頼関係は、崩れてしまったのかもしれない。

 だったら、一から作ればいい。
 きっと俺とハルとなら、出来るはずだ。

 そうさ。似た者同士だ。
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