女嫌いと男性恐怖症

 遥はマンションに来る前に、直樹と話したことを思い出していた。

 聞きたいこととお願いしたいことがあると、急に電話で事務所に呼び出された。

「遥ちゃんはアキって、どんな奴だと思ってる?」

「え」

 いきなりの質問に、驚いて考え込む。
 そして、感じたことをそのまま話した。

「なんでもできて、大人で優しいですけど」

「けど?」

「たまに私と同レベルか、それ以下かもって思う時があります」

 ハッ。アハハハッ。

 腹を抱えて大笑いする直樹に、晶にとってまずいことを言っちゃったかな。と、心配になる。

 でも、もうそんな心配もいらないか。

 寂しい気持ちでいると、直樹が涙を拭きながら、肩をたたく。
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