女嫌いと男性恐怖症

「あの人がどうしたんだ」

 言いたくなさそうに聞き返した晶に、遥は小さな声でつぶやくように話す。

「何かあったから、アキは側にいたんですよね?」

 晶は、胸の痛みを感じた。
 その顔を見て、遥も胸が痛くなった。

 遥もバカじゃない。
 みんなが大騒ぎしていたのは、あの人に何かあったからだ。

 そしてその何かあったあの人を支えるために、晶は側にいたのも分かっている。

 まさに遥が悩んでいた、アキは優しいから自分じゃなくても。のことが現実に起こった。

 そして思った通りに、自分じゃないあの人を支えるために出て行った。
 やっぱりアキは誰にでも優しくて、誰でもいいのだ。

 だからこそ自分は、アキと一緒にいてはいけないんじゃないか。
 そんな思いが、遥の心を急速に支配する。

 黙っていた晶が、おもむろに口を開いた。

「でも、それは傲慢な考えだった」

「え? どういう」

 クソッ。
 こんなこと言わなきゃいけないのか。
 言いたくはない。

 でもこいつには、認めないといけないだろう。

 晶は腹を据えて続けた。
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