女嫌いと男性恐怖症

「支えるなんて、偉そうに言える立場じゃないってことだよ。俺の方が支えてもらわないと、倒れちまうんだ。俺は、弱い」

 そして、誰かが側にいればいいってものでもない。

 俺が。
 俺が、側にいて欲しいのは。

「じゃ婚約者の人と、支えあえば良かったんじゃないですか?」

 婚約者の人と。
 ハルは、それでいいのか。

「そんなこと簡単に言うな」

 俺の気も知らないで。

「そっか。捨てられたんですもんね」

 クソッ。こいつ。

「こっちが、捨ててやったんだ」

 ふてくされた声を出す。

 チッ。ガキか、俺は。

「嘘ばっかり。アキって嘘をつくと、左の眉が上がります」

 バッと左眉を隠すと、クスクスと笑う遥と目があった。

「カマかけたのか」

 やっぱりクソガキだ。
 そう思うのに、遥の笑顔が嬉しかった。

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