女嫌いと男性恐怖症
第34話 大切の意味

 夜。遅くまで調べ物をしていた晶の部屋に、パタンとドアが閉まった音が聞こえた。

 眼鏡を外すと晶もリビングに向かう。
 どこか様子のおかしかった遥が、気になっていた。

「眠れないのか?」

 ソファに座っていた遥に、声をかける。
 小さく頷いた頭が、確認できた。

「仕方ねーな。ココアを飲むか?」

 また小さく頷いた頭を確認すると、キッチンへ足を向かわせた。

「懐かしいな。最初の頃みたいだ」

 晶はマグカップを遥に渡すと、ソファに座った。

 何かを思い悩んでいるような遥に、敢えて何も聞かなかった。
 そんな風に、今まで側にいてくれた遥がありがたかったからだ。
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