女嫌いと男性恐怖症

「アキは。婚約者の人みたいに、その、結婚したいとは思わないんですか?」

 変な質問に、晶の体がこわばったのが分かる。

「俺は、そういうのに夢や希望なんて持ってなかった。女嫌いなのは、ハルも知ってるだろ?」

 そうだけど。でも婚約者はいた。
 そしてその人を支えるために、側にいた。
 それは男と女として。

 アキは女嫌いかもしれないけど、結婚はできる。
 きっと、そういう大人な関係にもなれるだろう。

 でも、私は。

「ったく。俺は直樹に惚れてるんだろ? 結婚したいと思うと思ってんのか」

 なんで俺が、直樹のバカみたいな嘘に乗っからないといけないんだ。
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