女嫌いと男性恐怖症

「でも女の人とそういう関係には」

 ッ。こいつ。頭かち割ってやろうか。

「だから! 俺が女の裸を見て、喜ぶとでも思ってんのか。どんだけ俺が女嫌いか、あんなにも説明しただろうが」

 ダメだ。
 優しく何も言わないで側にいるとか、俺には無理な話だ。
 遥の理解できない質問に、げんなりする。

「じゃ私は、アキにとってなんなんでしょう?」

 クソガキだ。
 いつもなら、そう誤魔化してしまいたかった。

 でも。

「お前は、ハルは。俺の嫌いな女になるな。前に俺が言った、毛嫌いするほどの女になってみろっていうのは、忘れてくれ。今のままのハルが」

 そう言うと、ぎゅっと抱きしめた。
 口にすると、涙が出そうになるほどの思いだということに、今さら気づく。

「俺は今のままのハルが必要なんだ。スゲー大切だ。離れていた時に、気が狂いそうなくらいに」

 遥は何も言わなかった。
 どんなに抱きしめても足りない気がして、もう一度強く抱きしめる。
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