女嫌いと男性恐怖症

「俺は、俺には勉強しかなかった」

 遥は黙って聞いていた。
 ココアは温かい湯気を出して、遥の手を温めている。

「勉強だけは、すればしただけ返ってくる。でも人間は違う。特に女なんてのは、ダメだ」

 もっと女への批判を延々と述べたかったが、それは今度にすることにした。

「全寮制の学校に行って、男子校だしな。そうすれば女と関わらないで済む。で、勉強好きが高じて弁護士になったんだ。直樹はその時の連れだ」

 晶の話を聞いていた遥は、ため息をついた。

「弁護士、やっぱりすごいです。私は、親が忙しい人で放ったらかしで。それで、その。このざまです」

 遥には、まだ何か深い闇がありそうなに思えた。
 それでも、晶は自分が詮索されたくないタイプだから、遥がこれ以上は踏み込まれたくないことがなんとなく分かった。
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