女嫌いと男性恐怖症

 そう理解した遥は、やっと安心して晶にぎゅっと抱きついた。

 晶がドキッとすると、遥の顔が上げられて、ますますドキッとする。

「なんだ。どうしたんだ」

「アキにとって、私はなんなのかをもう一度、言ってくれませんか?」

 なっ。
 やっぱりこれは何、かの罰ゲームか拷問だろ。
 なんでそんなこと何度も。

 晶の気持ちを感じ取ったように、遥は付け加えた。

「言ってくれないと眠れません」

「ッ。言ったら絶対に寝るんだな? あと一回しか言わねーからな!」

 まだ顔を見つめてくる遥の頭を撫でて、胸の中に戻した。

 顔を見たまま言うとか、無理に決まってるだろ。

 はぁと息を吐くと、つぶやくように言った。

「スゲー大切だ。だからもう、どっか行ったりしないでくれ。あんな気が狂いそうな日々は、うんざりだ」

 遥はまたぎゅっと抱きついた。
 その姿が、愛おしくてたまらなかった。

 すると、遥が満面の笑みで晶を見た。

「私もアキのこと大切です。おばあちゃんみたいに」

 分かってる。
 こいつにとって俺は、ばあさんと同列なんだ。

 遥の言葉に切なくなると、もう一度強く抱きしめた。
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