女嫌いと男性恐怖症
「あれは」
遥が控えめに指差した先には、宝石の名前となにやら書かれたプレートが置いてあった。
膨れていても、見ているものは見ているんだな。
お宝ロボットは、性能がいいらしい。
心の中に浮かぶ遥へのからかいの言葉に、一人楽しくなって顔がにやけてしまいそうだった。
店員は、遥に向かって説明していた。
「こちらは誕生石です。どの石がどんなパワーや言い伝えがあるのかを、書かせていただいております」
1月から順に「ガーネット:真実・勇気・情熱」などと書かれてある。
順番に見ていた、遥の足が止まる。
視線の先には、水色に少し緑が混ざったような綺麗な石が、指輪の側面に数個並んではめられていた。
その指輪の石は12月の誕生石のようだ。「ターコイズ:魔除け・目標達成・友情」それは晶からしたら、今の遥に必要なものばかりだった。
「きれい」
つぶやいて釘付けになっている遥に、店員がにこやかに説明する。
「ダイヤも入ったデザインですので、彼からの贈り物でもピッタリです」
ダイヤは4月の誕生石だった。
そのプレートには、永遠の愛と書かれてあった。
複雑な顔をした遥はうつむくと、小さくつぶやいた。
「やめときます」
ったく。
面倒なのは相変わらずだな。
晶は遥の頭をグリグリした。
「自分が気に入ったなら、それでいい。石の意味なんて迷信みたいなもんだ。信じるにしても、ターコイズの方を信じたらいい。魔除けとか、今必要なものだろ」
男避けと魔除けって、意味は一緒なのかな?
適当な晶の助言に苦笑すると、心が軽くなった気がした。