女嫌いと男性恐怖症
帰り道、さっそくはめている遥は指を眺めながら歩く。
「へへっ。きれい」
「ったく。前を向いて歩けよ。危ないぞ」
注意しながらも、嬉しそうな遥に晶の頬も緩む。
それなのに口から出るのは、相変わらずの憎まれ口だった。
「こんな石っころで喜ぶなんて、やっぱり女は分からないな」
「石が嬉しいわけじゃないです」
遥は凛とした顔で言ったその後に、柔らかな微笑みを浮かべた。
その全てが綺麗でドキッとする。
急いで目をそらすと、自分に問いただした。
おいおい。クソガキだぞ。
間違っても、綺麗とかありえないだろ。
それなのに、早まっている鼓動は抑えられなかった。