女嫌いと男性恐怖症

「そういえば」

 思い出したように口にした遥の報告は、晶にとって衝撃的なものだった。

「陽菜さんが、今日ひまなら遊びに来てって言ってました。この後って予定ないですよね?」

 ちょっと待ってくれ。
 俺のこの服装と、ハルの絶対にそのままつけていく指輪。

 この装備で行くって言うのか。

 とんでもなく憂鬱で行きたくもないが、その理由を遥に説明したくなかった。

 こいつ。
 分かってやってんじゃねーよな?
 んなわけないか。

 チラッと盗み見た遥は、いつか見た空のようにどこまでも澄んだ瞳で、晶を見つめていた。
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