女嫌いと男性恐怖症
「いらっしゃい。あら。晶くんがスーツじゃないなんて初めて」
陽菜まで驚いた声を出す。
針のむしろのような視線に、この場から立ち去りたくてジリジリした。
遥は隣で、嬉しそうにはしゃいでいる。
チッ。人の気も知らないで。
晶は、こちらも楽しそうに肩に手をかけてきた、直樹の腕を振り払う。
「なんだよ。つめてーな」
最高に面白い。傑作だ。
の声が聞こえてきそうな顔を一瞥して、荷物をキッチンへ運んだ。
「ありがとう。助かるわ」
「いや。こっちも急で悪かった」
建前を口から吐き出すと、リビングのソファにかけた。
遥は陽菜と一緒に、お昼ご飯の準備をするようだ。
二人で食材を冷蔵庫にしまいながら、楽しそうに話している。
その姿を見て、まぁ来ても良かったか。と、思うことにした。