女嫌いと男性恐怖症

 残された二人。
 テーブルの前でサラダボウルを持ってきていた遥が、申し訳なさそうに口を開いた。

「あの、すみません。来るの本当は嫌でしたか?」

 ここに来た時に、顔が引きつっていたことを感じ取ったのかもしれない。
 そういうところは、相変わらずか。

「気にするな。別に直樹とは、いつもこんなもんだろ?」

 確かにその後は、思ったよりも良かった。
 たわいもない話で盛り上がって、食事をして、終わるとカードゲームをした。

 直樹が負けると「酒が入っているからだ」と、素直に負けを認めず、晶が「俺も飲んでるぞ」と言えば、こいつは人間じゃないからだと憎まれ口をたたいた。

 遥と陽菜は、そんな二人を見て顔を見合わせて笑った。
 こんな日が、ずっと続けばいいと思えるほどだった。

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