女嫌いと男性恐怖症
第37話 おまじない
だいたい夜に出歩くなって、夜ってほどの時間でもないしよ。
非難する視線を送りつつも、晶の思いはよく分かっていた。
まだ1人で、出歩かせたくないんだろう。
それにしたって。
「アキ。お前、酒セーブしてるだろ」
ハッ。これだから長い付き合いは。
「帰らなきゃいけないからな」
「別にいいじゃねぇか。泊まってけよ。久しぶりに記憶を失くすくらい飲もうぜ」
記憶を失くす……。
晶は胸がドクンとした。
嫌なこと、思い出させやがって。
「泥酔して変なことでもしたら、シャレにならないだろ」
晶の態度に、何かやらかしたことがあるんだな。と、直樹は心の中でニヤついた。