女嫌いと男性恐怖症

「変なことねぇ。そのくらいの方が、アキにはちょうどいいんじゃねぇか?」

 直樹はわざとニヤニヤして、晶にはっぱをかける。

「バカ言え。相手はクソガキだぞ」

 クソガキ。
 そんな風に思えなくなっていることは、晶自身も嫌というほど分かっていた。

 でも。

「クソガキね。もうちょっと自分の気持ちに、素直になったらどうなんだよ」

 今の俺に、どうしろって言うんだ。
 苦々しい思いで、吐き捨てるように報告する。

「自分の気持ちは、もう言った」

 隣で、直樹が大きく息を吸ったことが分かった。
 よほど驚いたようだ。

「じゃ、あの指輪はそういう」

 チッ。やっぱり指輪のこと、気づいてやがったか。

「だから違う。大切だとは伝えた。でも、あいつは俺のこと、ばあさんと同列なんだ。それ以上は何も言えないだろ?」

 直樹は「ばあさんと同列」と、つぶやいた後、アハハハッと大笑いしている。
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