女嫌いと男性恐怖症

「指輪、素敵ね。指輪を贈るなんて、晶くんもやるわね」

 陽菜の視線が、指輪に向かっていた。

「でもこれも、ガキにはまだ早いか?って言われて」

 ますますしょぼんとする遥に、本当にこの二人は。と、さすがの陽菜もため息が出る。

「晶くん。ガキって言って、誤魔化してるのよ」

「何を、ですか?」

「そうね。試しにガキは好きって意味で、クソガキは大好きに変換してみたら?」

「えぇ!?」

「たぶん遠からずってところよ」

「そんなわけ」

 そんなこと言ったら、毎日のように大好きと言われてることになる。

 あのアキに。

 真っ赤になる頬を押さえながら、陽菜に抗議する。

「もう! 陽菜さん、からかわないでください」

「いいから試しにやってみて」

 陽菜は楽しくなる自分に、私も直樹に毒されちゃったかしらね。と、苦笑した。
< 268 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop