女嫌いと男性恐怖症
帰ってきた二人は、手ぶらだった。
「あら? 飲み物は?」
「あぁ。遅くなる前に帰るってよ」
「ガキは、あんまり遅くまで遊ばない方がいい」
言葉とは裏腹に優しく声をかけた晶の「ガキ」が自然に「好き」に変わる。
好きだから、あんまり遅くまで遊ぶな。
心配だ。ってこと?
自分の都合のいいように変換される言葉なのに、顔が赤くなる。
「どうした。顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないのか? 今日は少しはしゃぎ過ぎてる」
やっぱり子ども扱い。でも。
フフッと遥は笑う。
「陽菜さんありがとうございます。面白いもの見つけた気分」
「そう。なら良かったわ」
元気を取り戻した遥は、意味が分からない顔の晶と帰って行った。