女嫌いと男性恐怖症
晶は必死に探していた。
遥のかけていった方へ走る。
寒空の下、額に汗がにじんだ。
男性恐怖症のくせに見知らぬ男に話しかけられでもしたらどうするんだ。
いや。違う。
あいつの男性恐怖症はもう随分いいんだ。
仕事ができるほどに。
違うだろ。俺だ。俺が必要なんだ。
あいつのこと。
晶はスマホを落としそうになりながら、直樹に電話をかける。
「ハルが消えた。トラウマの元凶の男に会っちまった。そいつのことは今度話す。当時、そいつに手を出されそうになって、過呼吸が出た。未遂らしいが」
「消えたってお前」
「男に気を取られて、クソッ。必ず探し出す。奥さんにも何か心当たりがないか、聞いてくれ」