女嫌いと男性恐怖症

 マンションにつくと、待ちきれなくて玄関で遥を抱きしめる。

「あの、ちょっと、アキ?」

 戸惑う遥に苦笑する。

「悪い。またハルがどっかに行っちまって、嫌な日々が始まるのかと」

 そんなに必要として。
 でも私は、アキが思ってるような人間じゃない。

 遥は、まだ晴れない表情のままだった。

 リビングのソファに座ると、晶は遥の両手を握って遥の目を見つめた。

 綺麗な顔立ちの晶に真正面から見つめられて、遥はドギマギする。

「昨日も言ったが、もう一度言う。必要なら何度でも言おう。俺はハルが。いや。遥が好きだ」

 遥はドキドキして目を伏せたいのに、晶の真剣な瞳から目が離せなかった。

「俺はハルのことが好きだ。ハルの丸ごと全部がだ。女としてのハルも」
< 286 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop