女嫌いと男性恐怖症

 女として。

 その言葉に、つらそうな顔をしたのが分かった。

「嫌なら言ってくれ。絶対に嫌なことはしない。だから」

 そう言った晶は、遥を抱きしめた。
 そして頭を撫でると、遥の顔に自分の顔を近づけた。

 遥が固まっているのが分かる。

「好きだ。ハル」

 そうつぶやいて、首すじにそっと唇を触れさせた。
 その後また抱きしめると質問する。

「嫌か? 俺に触れられるの。」

 胸の中で小さく首を振る遥に、ホッと息を吐く。

 ここからは、聞かない方がいいんだろうが。
 これは俺のエゴかもしれない。

 でもあんなクソヤローの嫌な記憶を、上書きしたい。
 もう思い出して欲しくもない。
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