女嫌いと男性恐怖症

「あいつにどんなことされた? 同じことをしたい」

「え?」

 俺も、クソヤローだな。

 遥が戸惑っているのが伝わる。
 それでもやっぱりやめようとは、言いたくなかった。

「急に抱きしめられて」

 言われて、晶ももう一度抱きしめ直す。

「耳元で、好きだよって言われて」

「好きだよ。ハル」

 ささやかれた甘い声に、遥は胸がキュッとする。

「そ、それで、なんか首の辺りが気持ち悪くなって」

 気持ち悪いか。
 そんなことしたくないな。

「ひゃぁ!」

 のけぞった遥の顔は真っ赤で、耳を押さえて抗議する。

「い、今、耳かじった!」

 ククッと思わず笑って「ダメか?」と質問する。

「ダメです!そんなことされてない!」

 晶は遥をまた抱き寄せる。
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