女嫌いと男性恐怖症
事務所に行くと、直樹がガッカリしたような顔で晶に口を開いた。
「休めって言って、休むようなやつじゃないとは思ってたけどよ」
「バ〜カ。せっかく休めって言われたんだ。休むけどよ。文句も言っておきたくてな」
「あぁ。昨日は、遥ちゃんが側にいたんだろ?」
ったく。分かっててあれだ。
人が良さそうな顔に周りは誤解してるだけで、直樹は案外腹黒いと晶は思っていた。
腹黒いくらいが、付き合いやすいんだがな。
直樹も言いたいことがあったようで、晶よりも先に話し始める。
「別に女嫌いでも構わないが、その風貌で独身だと色々と仕事がしづらいだろ? お前もそう思ってんだろ」
そう言われ肩をたたかれても、まぁなとは素直に言えなかった。
直樹の言いたいのはイケメン弁護士は顔で客が来るのに、女嫌いじゃ商売にならないって言いたいだけだ。
挨拶代わりによく言われてる。
お前がもう少し、女性に愛想笑いの一つでも出来ればなと。
直樹の言い分は置いておいても、確かに仕事相手に「女性が苦手なあなたに何が分かるんですか?」と言われ、「分かりたくもない」とは言えずに困ることはある。