女嫌いと男性恐怖症
人並みに女の人と人付き合いができれば、そういう面も改善されるかもしれない。
しかし、だ。
「あんな見ず知らずの、どこのどいつか分からんやつを」
「ちゃんと調べたよ。アキに丸投げで、住まわすのを頼んだんだ。このくらいはするさ」
チッ。やっぱり食えないやつ。
そういう仕事は早い。
直樹は調べた資料を出して、ザッと目を通す。
「普通の家庭だが、両親は離婚してる。それでどちらにも面倒を見てもらわずに、母方のおばあちゃんの家で暮らしてたみたいだ。ただそれもおばあちゃんが亡くなって、どうにもならなくなったようだ」
「ばあさんが亡くなったのは、いつ?」
「今年の夏。それであの男性恐怖症で、生きづらかったんだろうな」
会った時を思い出す。
たぶん野宿続きで、ホームレス同然の生活をしていたんだろう。
「ばあさんの家は」
「親が売払ってるよ。遥ちゃんはハタチを超えてる。普通の扶養義務はないが、あの状態で働けないんだ。親に扶養義務を求めることは可能だ」
鬼畜な親だな。そこも俺と同じか。