女嫌いと男性恐怖症

「毎日、毎食するのが憧れなんです」

 すまなそうに言う遥にうんざりして、仕方なく手を合わせた。

「いただきます」

「いただきます」

 うんざりしているし、嫌な気分になっているのに、遥が望むことをすると自分も胸が温かくなる。

 変な気分になって、黙々と食べ進めた。

「あの」

「まだ何かあるのか?」

 さきほどから、遥の態度にイライラする。

 女だからじゃない。
 女への嫌な気持ちとは、違うものだった。

 やはり、自分の過去を見させられる感覚だ。

「いつも食べ方も立ち振る舞いも、綺麗だなって」

 晶は、思わず椅子を乱暴に引いて立ち上がった。

 急に立ち上がった晶に、遥は目を見開いて見上げている。

「俺に綺麗だとか可愛いだとか、女を形容する言葉を使うな!」

 晶は乱暴にそう言うと、部屋へ行ってしまった。
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