女嫌いと男性恐怖症
次の瞬間、チビのせいで、長いバスタオルを踏むことになる。
「危ない!」
思わず転びそうなチビに、手を伸ばした。
ギリギリで間に合った長い腕は倒れかかった体を起き上がらせると、抱きしめる形になってしまった。
抱きしめた体は柔らかく、晶はドキッとした。
なっ。これが男のサガってやつか。
動揺を悟られないように、遥から離れる。
でも俺には、そんな気持ちも何もかも男らしいものは、全て持ち合わせていないはずだ。
ただあるのは、母に捨てられたこの低い声と無駄に高い身長だけ。
「わりー。危ねぇぞ」
触れてしまった体から手を離し、形だけの謝りの言葉を口にした。
そのまま遥を見ないようにして、脱衣所に戻った。