女嫌いと男性恐怖症
つい頭に手を伸ばすと、グリグリと撫でた。
小学生のガキ(男)に、するみたいに。
「ハルのそんな顔、初めて見たな」
ククッと笑いを噛み殺していると、ますます遥の顔が不機嫌になる。
「子ども扱いしないでください」
遥はブスッとした声で、恨めしそうな目を向けた。
「ハハッ。そういうことは、実際に子どものやつがいうんだぜ。自覚あるんだな」
言い負かされて黙る遥に、晶はこんなふざけあった会話、直樹としているような気分だった。
「で、そのきんぴらに、ひじきがどうした?」
不機嫌な顔のままの遥は、顔も見ないでテーブルを見つめて話す。
「パンにのせてチーズと焼くと、美味しいんですけど」
「はぁ?」
思わず漏れた呆れた声に、遥がすかさず言った。
上げた顔には、勝ち誇ったような表情を浮かべて。
「食わず嫌いなんて、子どもですね」
グッと黙った晶に、遥はプッと吹き出すとアハハハハッと笑った。
初めて見た笑顔だった。
そしてそれは紛れもなく、可愛い女の子だった。