女嫌いと男性恐怖症

 その顔から目をそらすと「どっちでもオススメの方でいい」
 それだけ言って、体を横に背け足を組んで座り直すと、買ってきた本を広げた。

 和やかな雰囲気から、立ち入れない雰囲気に変わったことを察したように、遥も無言で席を立った。

 キッチンで黙々と、朝食の続きを作り始めた。

 ブックカバーをした本で壁を作るように遮断する自分に、何やってるんだか。と嘲笑する。

 本は逆さまだった。

「そういえば、僕と言っていないようだが」

「あ! そうでした。すみません。わた、僕、うっかりしていて」

 怯えたようにうつむく遥に、どれだけ大人の機嫌を伺って生きてきたのだろう。と、晶でさえ不憫に思えるほどだった。
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