女嫌いと男性恐怖症

 チンッ。トースターの音に思考が遮られると、チーズと醤油の香ばしい匂いがした。

 オススメの方をと言ったのに、きんぴらもひじきもそれぞれパンに乗り、斜めに切られたものが遥と両方の皿に乗っていた。

「腹が減ってると、余計にイライラするかもな。食べよう」

 洋のパンに和のおかずを乗せて、しかもその上にまた洋のチーズ。

 ゲテモノを食べさせられる気がして気は進まなかったが、 遥が目の前で食べるのをじっと見ている。

 食わず嫌いなんて。と言われた手前、食べないわけにはいかなかった。

 意を決して、ひとくち口にほおばる。

「あれ、うまい?」

 疑問系で感想を言うと、遥がフフッと小さく笑った。

 その姿に俺たちも和洋折衷ってわけかな。
 と、自分の中で、なんとなく居心地の良さを感じ始めていた。

 遥が、一応は女なんだと理解しながらも。
< 54 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop