女嫌いと男性恐怖症
「いや。好みの味だ。前にも直樹に美味しいからと家でも飲むように勧められたが、だいたいから家で飯も食わないんだ。茶なんて余計に」
そこまで言って、はたと気づく。
今はハルが家にいて、飯も家で食べるのなら、こんな茶もいいのかもしれない。
「お好きなら良かったです。直樹さんの奥様は、おしゃれで優しくて綺麗で。本当に素敵な方ですね」
まぁハルからは、緑茶しか思い浮かばないな。それともオレンジジュースか?
と、心の中で笑うと、遥と目があった。
「あの。アキも思ったことを、言わなくないですか?」
これだから、似てると思うんだ。
変なところに気づきやがって。
なんとなく嫌な気分になって、不機嫌な声が出る。
「俺はいいんだ」
誤魔化すように視線を本に戻すと、本の世界へとのめり込んでいった。