女嫌いと男性恐怖症

 手際よく作る晶を横目に、遥はカウンター越しのダイニングテーブルで待った。

 わざわざ自分の症状の本を、あんなに真剣に読んでいた晶に、なぜそこまでしてくれるのだろう。と不思議な思いで見つめる。

 料理をする晶を観察しながら、遥は昨日のことを思い出していた。

 倒れかけて支えられた、腕の力強さ。
 今も腕まくりをしてフライパンを振る筋張った腕は、男らしさを感じた。

 けれど。抱きしめられるような格好になった昨日も、緊張こそしたものの、過呼吸のような拒否反応が出たわけではなかった。

 ぶっきらぼうでも、穏やかな低い声。
 本当は、優しい思いやりのある。

 コトッと小さな音と共に、遥の前にパスタが盛られた皿と、サラダの小鉢が置かれた。

 コップには、午前中に冷やしておいたルイボスティが注がれる。

 やっぱり男性も女性も越えたすごい人だから、拒否反応なんて恐れ多くて出なかったのかな。

 そんな結論に達していると、晶もテーブルについた。

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